愛と経済とブロックチェーン。あたらしい共感経済がはじまる。 [後編]

05/04/2018

[前編]よりつづきます。

ブロックチェーンで起きたこと、それは信用の陳腐化です

ここでブロックチェーンについての説明も少ししておきましょうか。今までは信用は大事にされてきたものなのだけれど、ブロックチェーンによって信用に価値がなくなります。信用の陳腐化。それが前提だからです。これからの価値は「共感」です。共感のみが評価されます。自分は今仮想通貨で個人資産の90%を持っているのですけれども、理由が二つあります。

(空き缶を片手に)「ここの土地例えば俺のものです。証明はこれです、信じますか?」。もしそれが多くの人間が信じると言うなら信じてしまう。この席にいる人たちが信じると言ったらまあ信じるかもしれない。鎌倉市民の全員が信じるといえばきっと信じるでしょう。それがブロックチェーンです。みんなで信用を担保するわけです。全ての人が信じている。この土地で言えばこの土地の売買が始まった瞬間からの取引履歴が全て記載されている。そして最後の人だけが鍵を持っている。その取引履歴を全員が持っている。取引の都度、全員の履歴がアップデートされる。すごいのは不正ができないということ。みんな、改ざんに手伝ってくれ。それができないと改ざんがそもそもできない。盗まれたという事件があったけれども、お金と銀行に例えるならば、銀行は失敗を犯したが日本円が悪いということではない。あの会社は失敗を犯したけれどもブロックチェーンが問題があるのではなくて、管理をしていた銀行の問題であると言うことですね。

愛と経済とブロックチェーン

今の日本では、国の登記証明というものが問題でもあって、今年のニュースの通り、不正と改ざんが現実できるわけです。攻撃にも弱い。ミサイルが落ちたら当然全てなくなってしまう。戦争の後では何の保証もない。僕は死ぬときに、セリフをもう決めています。辞世の句「河崎死すともチェーンは死せず」。(笑・歓声)ブロックチェーンに自分の妻との結婚証明をブロックチェーン上に残したんです。永遠の愛を。これは何を意味するかというと世界のコンピューターは全てが使えなくなる瞬間まで消えることがないということです。そう、うちの嫁の卒論のタイトルは「愛と経済とブロックチェーン」です。(笑・歓声)

ブロックチェーンのイノベーションと分散化

こういう仕組みができると何が起きるかと言うとこれまで信用担保というのは大変だったんですよね。不正がなくて改ざんもなくちゃんと保全されるという担保。日本だとは年間数兆円だとか、5兆円くらい防衛予算に充てて、データセンターは数百億円の予算をかけてセキュリティを担保していくんだけれど、ブロックチェーンのイノベーションとは同等の担保を数万円でできてしまうことなんです。集権化があって(地方などの)分権化があり分散化が起きてくる。分散化というのがのが非常に重要。フェアコインなんかは、直接分散化が生まれたと言える。日本は分権化のステップを経て実現するんじゃないかと思うんです。テクノロジーは先行して分散化を実現しているわけですけれどもね。日本は分散化という観点では先行していくのかもしれない。

ジャック・アタリはこれから無数に戦争が起こると言っています。西洋主義ではアイデンティティがひとつしかないと思っている人たちが無数に独立していくとする。そこでの争いです。存在が存在すると勘違いしている。自分があると勘違いしている。トランプとかの考えですね、自分たちが良ければよい。AIが発達すれば自分達だけでやっていける。他者との関わりは弱くてもやっていける。どんどん孤立化が深まるわけです。

一方で日本の可能性というのは、和の心だと思っていて、非常に分散化社会と相性がいい。そこは自分では「0=1」という考え方ってあるんですけれども、主体と客体の分離しない世界観。クリスチャンだと世界観ってわかりやすくて、神がいるかいないかというところからスタートするので、絶対正しいものがあって、そうかそうでないか。KKKって分かりやすいですけれども、トランプだと白人至上主義の考えでは、白人かそうじゃないか。本質的には絶対あり得ないんですけれどもね。白人の人にだって黒人の遺伝子は絶対入っているし、白人と黒人との違いってなんなのと。自分も15年間クリスチャンでしたが、今は仏教徒なんです。実はお寺も一個持っていて。実は01.foundationってのは宗教法人でして、私、たいそう寺というお寺の住職でもあるんです。真言密教になります。石川県加賀市に。加賀市の動きとは全く関係ない偶然なんですよ。譲り受けたものです。

21世紀の基軸通貨はデジタル通貨。ブロックチェーン化する可能性は高い

基軸通貨は変わるものです。20世紀はドルなんですけど、19世紀はポンド、18世紀はグルデンで17世紀はダガットだった。一世紀ごとに基軸通貨は変わっているので、21世紀はデジタル通貨だろうと。

最近、ICOが流行ってますけれど、我々の目線で言うとICO、ブロックチェーンバブルはまだ始まってもいない。少し紹介したいのが全世界のお金の総量。2013年でビットコインが5千億円、今で20兆円ぐらい。銀の価値の総量は1.4兆円。ビルゲイツの個人資産は8兆円ぐらい、アップルの企業価値は7千兆円。アメリカの連邦予算が5百兆円。全世界の現金預金の総量も5百兆円。不動産の価値の総量は8千兆円。金の価値の送料が8百兆円ぐらい。ここまではナローマネー、実体のある経済。実体経済の2.5倍あるのが株式市場、7千兆円ぐらい。ここまで合わせてブロードマネーというお金。流通しているというお金ですね。これの2.5倍大きいのが国債負債ですね。2京円ぐらい。アップル200社分ですね。

で、全く分からないぐらいに大きいのが保険とかローンとかの、デリバディブ。ビットコインもここ。この一番大きいところを保証しているというのが国なんだけれども、ミサイルでも落ちたら消えるわけです。資本家は安全に資本を保管しようとするから全てのデリバティブがブロックチェーン化する可能性は高い。国よりもブロックチェーンに預けた方が安全だから。その時、国が担保する必要がなくなったら、国の存在ってなんだったかと。
参照) All of the World’s Money and Markets in One Visualization

社会関係資本と共感価値創造

社会関係資本はどうやってたまるかというと、共感をすることでたまる。無限の価値、共感価値創造装置。共感を生み出す装置が、愛。相手に共感を与えることが、愛。共感について日本で問題があるとすれば共感搾取であるということ、毒親ですね。自分が気持ちいいから「ああしなさい、こうしなさい」というやり方。この場合子供は親に共感をしていない。この状態が共感搾取。子離れできない親、親離れできない子。これ起こしているのが核家族化の問題。親子だけだと一方的な共感になりやすい。

ブロックチェーンと人間と霊性

信用と信頼の違い。これはブロックチェーンか否か。どこかが認めているという信用、目の前の人を信用してるのであって、信頼していないこともある。信頼はストレートに相手そのものを認めるということ。余談ですが本質的なこととして、人間の脳は常にブロックチェーンであって、この場でもチェーンが生まれている。これは改ざんができないことですよね。昔の村というのもブロックチェーンだと思う。村社会というものが嫌になって出ていくというものが近代化だったわけです。

もうひとつ余談ですが人間とは何か。社会関係資本は一定量溜まって売れるか?というと、売れないということが起きるんです。自他非分立。人って、自分そのものになってしまったものは分けられない。そのイヤリングが売れるとしたらきっと売れるんだけれども、その耳って売れないですよね。イヤリングって自分でもあるとも言えます。自分とは何か人間とは何か。そこにあるワインを飲んだ時にワインって自分になりますか。自分はないとも言えるし、全てが自分となることもここでは起きている。

人間とは何かっていう時に人間は霊性だと思うんです。ここでいう霊性というのは、この映像だと思うんです(映像:One hand illusion)。偽物の手を痛がる自分がいる。これが霊性です。これが人間なんです。人間って自分がないんだけれども自分を拡張することができる。自分が人間であると。だから人間は道具とか歴史とかそういったものも拡張できる。ほかの動物はこれができない。動物は常にマインドフルネスだから全体の一部でしかないということを自覚しているけれども、人間は独立した意識を持っているからこそ、拡張能力も持っている。

人間って5つの性(さが)を持っていて、本性と感性と理性と知性と霊性。本性が何かと言うと、有機的生命体としての基本的なもの。感性は哺乳類が持っている大脳辺縁系の感情、他者とのコミュニケーション能力。そこに理性や知性があって、人間は分けて考えている。人間はこれをが自分であるとかそうでないとか分けることができる。

社会関係資本と自他非分離

社会関係資本というのはその先にあって、自他非分離になると経済活動はいらなくなる。なぜかと言うと、あなたが私であったら、互いに自分となると、経済はいらなくなる。

松島)日本語の世界観で主体と客体を分離しないということはありますよね。独特の言語空間として。主語を明確化しない言語空間の深さ。

大阪人って結構そうですね。「ジブン何してるの」って。日本独特の鎌倉独特の強さがそこにありますよね。これからの共感資本主義には非常に重要なこと。今日お話したのが禅とブロックチェーンと共感経済、その一連の関係性について。以上になります。

──いやぁ今日は素晴らしい気づきの連続、ありがとうございました。

ユリ) 私は3.11以降、各地を回っていく中で、お金を稼いでいないのに、いろんなことを実現するという経験をしました。お金以外のもので循環しながら動いている時間なんですよね。いろいろな所で出会う、その地域だけで使える地域通貨もありました。お金ってそんなに頼りにしなくてもいいんじゃないかという思いも出てくる。一方現金でないと、実現できないこともある。自分がやりたいことを表現することでできる世界もあるんじゃないかな。

松島) その実現性について考えてくところとして、この鎌倉というところは可能性を持っているよね。鎌倉って、社会関係資本が思いっきり充満しているところだと思うんです。それを数値で扱うということがコモディティ化してしまうことがこの地域にとって良いことなのか、悪いことなのかということは冷静に見ないといけない。問題としてすごい感じています。

──なんとなくこの地域では、共感によって生み出すやり方というのがきっとあって、その評価方法について、肩たたき券やスタンプカードに近い何かないかなというものは悶々と感じるんですよね。現金支払いの関係は地域の中では非常にもったいない関係となることも直感的に感じていますね。

松島) あなたのことを知っていて、さらに信頼をかぶせるのとは違い、面倒なことをやらなくてもいいという関係をつくる通貨の役割。一方顔の見えるスケール感、そこに新しい通貨というものを入れていくことの相性、そこにはすごい興味があります。これからあらゆる規模での実験が行われていくわけですよね。

──私たちも今日を機にやっていきましょう。

ええ、仕組みはもうできています。あらゆる通貨って地域通貨とも言えます。2点抑えどころがあって、利権とか権力構造、既得権益がある人たちの可視化がひとつ。一方、誰がどれだけこの街に貢献しているかというものの可視化。そこでは思ったよりも貢献しているという人とそうでない人がはっきりしてくる。そこを表現できると、世界のロールモデルを目指すということ。それはこの地では非常に有効なのではないかと思います。

──本日は非常によい場となりました。ブロックチェーンプラットフォームの中でできることはまだまだ多くあるようです。あらゆる場面で分散化の方向に進む中で、そこに適したクリエーションを発信していきましょう。新しい世界にコミットし、実装を進めていきましょう。「愛と経済とブロックチェーン」に、みんなコミットしましょう。本日はありがとうございました。

参加者: Kamakura Gathering(岩濱サラ、宍戸幹央、二藤部知哉、古瀬正也、むろき優理 (Li✴︎Li)、山下悠一)、清宮普美代、清宮克良、松島倫明、三木康司、湯川鶴章

文・写真= 二藤部 知哉